7月24日(水)山口県周防大島町旧源明峠
周防大島の西側に連なる「瀬戸内アルプス」
そこにそびえる源明山の北に位置する旧源明峠に地元の人たちに古くから語り継がれている「ひだるさあ」があります。
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しかし、最近私たちが今まで「ひだるさあ」と思っていた祠が違うのではいう写真が出てきました。
2つの写真の地蔵様を比べるとその違いは明らかです。
また山に入って探し回りその真相を探らなければ・・・・・・・・・・
山に入って探すのが嫌いではないので、実は嬉しいのですが・・・・・
「ひだるさあ」とはこの地方の方言で「ひもじい」ということです。
【ひだるさあのお話】(大島町史)
それは、いつのころか分からない。修行者のような旅人が屋代から安下庄へ越そうとしていた。ひどくやせて青い顔をしていた。その歩く後姿はたよりなくよろめいていた。でもどうやら杖をたよりに峠を上っていった。もう頂上も近くなったが、急にけわしくなった石ころの多い坂道は、修行者の足をうばいそうであった。じっさいいくたびか石につまずいてはころんだ。杖を力に立ち上るその顔はこの世の人とも思えなかった。どうやら頂上に届いた。ここは源明峠である。この向こうにもまたその向こうにも山又山が重なっている。家里まで出るのはいつのことか、修行者はがっかりしてしまった。どかっと尻をそこへすえると、もうそれきり一寸も動く力がなくなった。虫の息になって、ここを通る人を待って救いを求めようとした。しかしその日もそのあくる日も人一人通るものはなかった。とうとう飢えに苦しみながら、そこで死んでしまったのである。
その後この死骸を見つけたものが、そこに埋めて手ごろの石をそのしるしに立てた。これが源明の「ひもじいさま」である。
たれでも、ここで「ああ腹がへった」とでもいおうものなら、立ちどころに足が立たなくなってしまう。その時「ひもじいさま」ににぎりめしを一つそなえると、すぐ足腰が立つようになると信じられている。